大判例

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岡山地方裁判所 昭和27年(行)16号 判決

原告 片山深

被告 神目村議会

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は全部被告の負担とする。

二、事  実

原告は被告が昭和二十七年十二月十二日原告に対してなし、同二十八年二月七日の臨時議会において昭和二十九年三月三十一日まで出席を停止する旨に更正された決議は之を取り消す。訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、其の請求の原因として、原告は被告議会の議員であるが、被告議会は原告において、訴外神目村長を被告として昭和二十七年九月三日岡山地方裁判所に同庁昭和二七年(行)第一二号村長職務行為の禁止ならびに損害賠償請求の訴訟を提起したことをもつて被告議会々議規則に違反するとし、同年十二月十二日原告を同訴訟の判決確定まで議会出席停止処分に付する旨の議決をなし、公開の議場において議長からその旨宣告し、更に昭和二十七年七月十日の村長専決処分承認議会において議長の制止もきかず退場したことをも追加事由となして昭和二十八年二月七日原告を昭和二十九年三月三十一日まで議会出席停止処分に付する旨の更正の議決をなし、公開の議場において議長からその旨宣告した。然し乍ら右村議会出席停止の議決は左記理由によつて違法である。(一)地方自治法第百三十四条第百三十五条に定めてある懲罰の対象となるべき事柄は議員としての資格においてなした行為のみに限るものであり、原告が村住民としての資格において、村長を被告とし、地方自治法第二百四十三条の二に基いてなしたいわゆる納税者訴訟提起行為の如きは懲罰事由には該当しないものである。従つて右行為を理由としてなされた懲罰議決は違法である。(二)昭和二十八年二月七日の臨時議会において前記懲罰の附加理由とせられたこと、すなわち昭和二十七年七月十日の村議会における村長専決処分承認の議案審議に際し原告が議長の制止を拒絶して議場を退場したことはない。原告は右議会に於て承認の延期を要求したが容れられなかつた為退場したに過ぎないものである。仮りに原告が無断退場したものであつたとしても右事実をもつて当該会期終了後相当期間を経過した昭和二十八年二月七日の村議会に於てこれを本件懲罰の附加事由と目したことは違法なるを免れない。(三)右行為が何れも右各懲罰の対象となり得るとしても、出席停止の懲罰にありてはその期間を、当該議決をなす会期中に限定してなすべきに原告を昭和二十九年三月三十一日迄の議会出席停止処分に付したのは違法である。よつて原告は被告議会の原告に対する本件出席停止議決の取消を求める、と述べた(立証省略)。

被告代表者は原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として原告主張事実中被告の処分が違法なる点および昭和二十七年七月十日の村議会における村長専決処分承認の議案審議中原告が議長の制止をきかず退場したことはないとの点を除き、其の余の事実は凡て認める。被告議会が原告に対してなした右議会出席停止の議決は適法である。なお、被告議会は昭和二十八年三月二十四日の村議会に於て原告に対する右出席停止の議決を取り消したものである。よつて原告の請求は何等理由なきものであると述べた(立証省略)。

三、理  由

被告議会は昭和二十八年三月二十四日の村議会に於て原告に対する議会出席停止議決を取り消した旨主張し、原告に於て右事実を明かに争わず、よつて被告主張の右事実は之を自白したものと看做す。されば現在としては被告議会が原告に対してなした議会出席停止議決の取消を求める原告の本訴請求はその主張自体理由がなく棄却を免れない。

原告は被告議会の議員であるが、被告議会は、原告に於て訴外神目村長を被告として昭和二十七年九月三日岡山地方裁判所に同庁昭和二七年(行)第一二号村長職務行為の禁止ならびに損害賠償請求の訴訟を提起したことをもつて被告議会々議規則に違反するとし、同年十二月十二日原告を同訴訟の判決確定まで、議会出席停止処分に付する旨の議決をなし、公開の議場において議長からその旨宣告し、更に同年七月十日の村長専決処分承認議会において、議長の制止もきかず退場したことも追加事由となして昭和二十八年二月七日原告を昭和二十九年三月三十一日まで議会出席停止処分に付する旨の更正の議決をなし、公開の議場において議長からその旨宣告したことは当事者間に争いがない。而して地方議会に関しては法規上出席停止につき期間の定めなきも、地方自治法第百十九条において会期不継続の原則が定められておるから、この原則の根本精神にかんがみ、出席停止の期間は当該会期の範囲内で決定すべきものと解する。されば本件においてその実体的理由の如何は措て置き、当該会期を遙かに越えて昭和二十九年三月三十一日まで原告をば議会出席停止処分に付した本件議決はその期間の裁量につき法律上許された限度を著しく越える違法があるものと謂うべきである。しかも被告においてはこれが取消手続をしなかつたので原告は已むなく右取消以前たる昭和二十七年十二月二十二日本訴を提起したことが明かである。

以上のとおりであるから結局本訴は原告においてその権利伸長の必要上なしたものと認めざるを得ないので訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十条後段を適用して主文のように判決する。

(裁判官 三関幸太郎 原田博司 中原恒雄)

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